くらげ

TALK TO ME/トーク・トゥ・ミーのくらげのネタバレレビュー・内容・結末

4.5

このレビューはネタバレを含みます

劇場、2回目行きました。
画面向かって右後方の座席が最も音響を楽しめるのではないでしょうか。

冒頭兄弟の父親も訳アリな亡くなり方をしてるんだな。
霊的には狙い目か。
トラウマを正確に突いてくる悪質さ。


冒頭からカッ飛ばしてくる!
ビックリして心臓止まるかと思った。
だから映画館でホラーは嫌なんだ!
でも我慢出来ずに観に来てしまった。
ヤバい…ハマりそう…(^q^)
Sia の Chandelier のハマり具合も素晴らしい。

現実にあの手があったら絶対にそうなるだろうな、というリアリティの連続。
少ない訳ではない登場人物の描写がとにかく丁寧で、みんな何か抱えてんな、ってのが妙に伝わる。
賑やかにしてても、親しくしてても、目の前に居ても、繋がっている実感が得にくいんじゃ。
日本でのトー横やら風邪薬やらの問題を思い出す人が多いのではなかろうか。
孤独、承認欲求、虚栄心、そういった心の内を鷲掴みにしてくる "手" 。
Talk to me.
Let you in.
そして手を握るという行為。
誰かと心と体で繋がりたい、人間の本質的な部分を象徴するアイテムとして "手" は最高のモチーフだったな。大発明。
現象も、演出も怖いんだけど、それ以上に現代人へのマッチっぷりから来る怖さ。

在りし日の "You suck" を「ウザ」と翻訳したのも天才。
え?日本語喋った?ってなるくらい、ベスト翻訳。

「友達なら止めてる」
彼らの薄い関係性をバッサリぶった斬るセリフだった。
冒頭のパーティーもそうだけど、ナニユエ、あちらのティーンはほぼほぼ知らない人ばかりのパーティーに行くのか。
ナニユエ、それが催されるのか。
自分浮いてるかも、と感じても踏み出す、そのコミュ力は本当に素晴らしいんだけど、同調圧力も結構強いんでなかろうか。
動画消してくれ!って言って出て行ったのに戻って来てまたやってるダニエルも謎。
エンドロールにカンガルーと犬のクッキーちゃんへのフォローが何か書いてあったよね。

ジェイドとライリーのママ、スーさんの際どいキャラクターが一番気になったかな。
どうにもパパは不在気味で、ユーモアはあるんだけど、守りたい気持ちからやや過干渉の様子。
子供達にはタバコの害について教えているのに、自分はストレス発散に隠れてタバコを吸っていたり。
息子があんな事になったのも、本人の神経の問題、器質的、もしかしたら内面的な問題のせいであるよりクスリのせいだと思う方がマシ、と吐露するシーン。
何かの弾みで自分を責めてしまうより、外部に要因があって、それが例えもう一人の娘の様に気にかけている子を突き放してでも、そう信じたくなっちゃう瞬間。
多くは描かれないけれど、スーが落とし穴にハマる可能性だってある、誰にだってある、と思わせる闇っぷりだった。

カンガルーに見えなかったんだけど、ミアは安楽死をさせてあげられる様な人間ではない、の伏線だったのか。
そして本人の罪悪感として残り続けていたから病院で幻視として現れた、のかな?
とにかく心の闇をメタクソに狙ってくる悪意の塊の悪霊。
ミアのお母さんの姿をしていたのは果たして?
自死だったのは確実として、お母さんも実は手に殺されたなら本人なのかも知れないし、ミアの弱味に付け込む為にライリー経由で現れた別の悪霊ならガチで悪質極まりないし。

ミアちゃん、パパともっと早く打ち解けられていたら良かったんだけどな。
手紙があることを知っても手遅れだろ、と思ったら案の定。
初恋の相手?のダニエルが親友のジェイドとくっついてしまうと自分が孤独になるのを気付いてるから、カラッとしてるフリして間に入っちゃうんだろうなぁ。
分かるで、そういうの。
その気も無いのに他人にベタベタくっついて、距離感バグってるから嫌われちゃうし。

ラストは世にも奇妙な物語っぽかったけど、霊の正体は孤独な人間達、という結論の出し方はスッキリサッパリして気持ちが良かった。
くらげ

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