三樹夫

TALK TO ME/トーク・トゥ・ミーの三樹夫のネタバレレビュー・内容・結末

3.6

このレビューはネタバレを含みます

ホームパーティーで降霊術をして遊ぶ若者たち。呪物みたいな手を握ったらお手軽に霊が降りてくる即興性が特色で、誰にでも簡単に霊が降りてくる。まずは主人公が降霊を行うが、限界時間の90秒を数秒過ぎてしまい、観ているこっちはヒヤヒヤするがその場は何事もなく終わる。
後日また降霊術を行うが遂にアクシデントが発生し、ライリーがどうやら悪霊にとり憑かれ自らの手で目をえぐり出そうとし、頭を自ら打ち付け重傷を負う。ライリーは即入院になるが、その後も壁に頭を打ち付け意識不明となる。主人公は責任を感じて一人で降霊術を行い、母親の霊とも交信する。ここで観ていて降りてくる霊にも悪い霊と良い霊があるのかなと思う。
しかし真にヤバい霊のとり憑かれ方をしていたのは主人公の方で、心神喪失状態になり父親をハサミで刺し、ライリーをあの世へ持っていこうとする。寸前の所でライリーは助かるが、主人公は死に自らは霊となるという、主人公がひたすら悲惨な目に遭うホラー。

ライリーにヤバい霊がとり憑いたというミスリードをさせておいて、真にヤバく霊にとり憑かれていたのは主人公というツイストになっている。主人公の最初の降霊術で90秒を数秒過ぎたが何事もなかったかのように見せかけて、実はヤバいことになっていた。この時ライリーを指さしており、最初の降霊術で悪霊にとり憑かれて以降の主人公はずっとライリーをターゲットとしていた。ライリーと主人公が一緒のベッドで寝るという、ライリー目線で言うと姉貴の友達と一緒に寝るシスコンうらやまシーンがあるが、主人公がライリーをベッドに入れたのはターゲットとしているからであろう。悪霊に憑かれていなければ姉貴のようにベッドで一緒に寝るのを拒否したように思われる。ライリーヤバい霊のとり憑かれ方してんなぁ〜と呑気に観ていたら、主人公の方がヤバいとり憑かれ方してた。
何故主人公がこんな目に遭ったのかというと、母親を自殺で亡くし孤独にさいなまれていた心の隙間を悪霊につけこまれたように思える。

降霊術というか、日本人からするとこっくりさんをやっていたらとんでもないことになった映画であり、親近感があるのと令和になってこっくりさんホラーを観るとは思わなかったの変な感覚に陥る。それでも話がどこに行くのか終盤まで分からないのが求心力になっている。
降霊をするとどうやら気持ち良いらしく、降霊術をドラッグなどのメタファーとして読み取ることも可能であろう。若者間の悪アピールおよび真面目ダサい同調圧力にのまれ取り返しのつかないことになるやつで、「Do it ! Do it ! Do it !」と同調圧力が高まっていくシーンは嫌な感じが漂うし、ライリーが頭打ち出した時には誰一人として微動だにせず、何の対策もシミュレーションもしてなかったんかいと、青春期にあるこういうのヤダ~というのが盛り込まれている。
ペットが犬というよりは豚のもの凄いブサイクな犬だが、ブサイク犬はそれはそれで可愛い。
三樹夫

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