いつもいっちゃん

12日の殺人のいつもいっちゃんのレビュー・感想・評価

12日の殺人(2022年製作の映画)
4.3
クララが殺された。
未解決事件を展開させながらちゃんとフィクション。
冒頭で未解決と断言されてることから、物語は事件解決ではないまた別のことを描いているのだなと。

生きたまま焼かれ殺された21歳の女性の事件を捜査する刑事。
様々なクララの関係者に聴取を行うが、次々に怪しい人物が浮かび上がると同時に、また別の闇に近づいていく。
聴取から明らかになる男性が亡き女性に対するすぐ抱ける女像。
事件の真相というより刑事の捜査が軸であり、男性社会に内在するものを描いた骨太ドラマ。
未解決というので、やはりかなりモヤモヤは正直する。
しかも怪しい男性の見本市が展開していくので余計に。
しかしロードバイクで同じコースをグルグル回る刑事の姿が、終盤とる選択にまた閉塞感を抜け出す少し吹き抜ける余韻を感じる。
まだこの作品が描きたいテーマが事件に関係する男性だけではなく、身近にも存在しているという視点も鋭い。
セザール賞で作品賞を受賞した本作。
今年は「落下の解剖学」が受賞しましたが、セザール賞が注目するテーマは現在位置がここに向いているのも興味深い。