南森まち

窓ぎわのトットちゃんの南森まちのレビュー・感想・評価

窓ぎわのトットちゃん(2023年製作の映画)
4.3
落ち着きがないため小学校を退学(!)になったトットちゃん。
新しく門戸を叩いたトモエ学園は一風変わった学校で、彼女を暖かくむかえ、心豊かに育ませる…というお話。

ご存知黒柳徹子さんの自伝。可愛い絵柄で子供向け作品に見えますが、内容は原作通り小学校高学年〜大人向け。教育のあり方や戦争の恐ろしさについて考えさせてくれる内容。
就学前児童を連れてきた観客も多かったが、むずがっている子がいたのも仕方ないと思う…。

原作を読んでいた自分は、「列車がそのまま学校になっているトモエ学園」がビジュアライズされているだけで感動してしまった。
そして、小児まひの泰明(やすあき)君との交流、太平洋戦争開戦による世界の激動…等々が、トットちゃんから見た世界として丁寧に描かれている。アウトラインを知っていても、映像になると生々しい。

自伝なだけに、起承転結が決まるお話ではなく、散文的ですらある。
しかし、どこの世界にもいる心優しい人々の存在と、それを大きく傷つける戦争の痛ましさの二つを見せつけてくれる傑作でした。
オススメです!