南森まち

あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。の南森まちのレビュー・感想・評価

3.8
女子高生が母とケンカして家出し防空壕で眠る。目覚めるとそこは1945年6月の鹿児島で、出撃を待つ特攻隊員たちと親しくなる…というお話。

二人のラブロマンスで泣かせる話だろうと思っていた。が、ロマンスは抑え気味で、様々なキャラクターの小さなエピソードが生々しいと思えるまでのリアリティを感じさせた。知覧の特攻隊員の手紙を読まねば(読んでも)分からない彼らの心境を、見事に描いていると思う。映像になると破壊力大きいなぁ。
背景や考え方の異なる五人の隊員の描き方が見事だった。

恋愛要素はオマケ程度、というかあの感情は恋愛ですらなかったかもしれない。エンディングの福山雅治の「ぼくは大河のただ一粒、か弱い命がただ出逢った」という言葉がこの映画を見事に示していたと思う。
これからの子どもに見てほしい、良い作品だと思います。