たく

マディのおしごと 恋の手ほどき始めますのたくのレビュー・感想・評価

3.7
謝礼を目当てに年下男子の童貞を奪う依頼を引き受けた年増の女性を描くコメディで、ジェニファー・ローレンスの身体を張った覚悟の演技が痛快だった。話としては、引きこもり男子が経験豊富な年上女性に成長の手助けをしてもらうありがちなものだけど、実は両者とも人生の問題を抱えてて、次第に対等な関係になっていく過程が微笑ましかった。監督は「グッド・ボーイズ」のジーン・スタプニツキーで、同作では無邪気な子どもにエグい下ネタをさせる際どい演出があり、本作でもフィンガートラップを使った強めの下ネタがあったね。マシュー・ブロデリックが出てることに全く気付かなくて、エンドクレジットで気付いて慌てて出演シーンを見直したけど、昔の面影がほとんど感じられなかった。

ウーバー運転手で生活費を稼いでるマディが、持ち家の税金を払えなくなって商売道具の車を差し押さえられるという苦境に陥る。そこにタイミング良く、引きこもりの息子を心配した両親が息子を成長させようと新聞に掲載した求人広告がマディの目に止まり、渡りに船と飛びつく展開。広告では20代前半の女性が条件になってて、32歳のマディではどう考えても釣り合わないのに、何だかんだ両親を言いくるめるマディに頭の回転の良さが窺われる。

19歳のパーシーと32歳のマディが一回り以上の年齢差なんだけど、ジェニファー・ローレンスが童顔でスタイルが良いので思いのほか不自然に見えない。圧倒的にセクシーなマディがパーシーをリードしてさっさと仕事を終えようとする中で、奥手なパーシーがなかなかその気にならないのがコメディ展開。二人が付き合ううちに、マディがパーシーの誠実さや彼の思いもよらぬ音楽の才能に触れて彼に一人の人間として向き合っていくのがジーンと来る。パーシーに真相がバレていったん壊れた関係が、より強い結び付きとして再構築されるのは王道展開。最初は非対称な関係性だった二人だけど、この騒動を通じてパーシーは両親から自立し、マディも亡くなった母親から受け継いだ家の維持のため停滞してた人生を一歩を踏み出すことになるのが胸熱だった。
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