不乱苦

劇場版ブルーロック –EPISODE 凪の不乱苦のレビュー・感想・評価

-
原作の本編は読んでいる(大好き)だがスピンオフもテレビアニメも未読・未見のまま鑑賞。

昨今のテレビアニメ作品のクオリティは素晴らしいものが多く、大スクリーンに耐えうる作品がたくさんある。劇場版ともなればより一層「単体の作品」としての強度が備わったものとなっている。
しかし本作は、昔懐かしいクオリティの低さ。作画についてはすでにテレビアニメ版から指摘が多かったようだが、劇場版も大差がないようだ。令和の時代にこのクオリティかあ、とは思うが、それに目をつぶったとしても、話が面白くなさすぎる点はそれ以上に問題だ。この話は本編の前日譚かつ、主人公ではないサブキャラ目線から見た別アングルの総集編のようなものだ。が、だからこそ表現できた、と思える要素が皆無なのだ。
「毎日を無為に過ごす凪。ブルーロックに無理やり入らされたが、退屈は終わらない。しかし、潔たちと出会ってサッカーの面白さに目覚めたのであった」……だから何だ?っていうかそれぐらいのことは本編だけ読んでても描いてたのだが。
つまり、本作は上記の性質上、観客は本編を見た人だけが対象となるのだが、本編を観た人ならば見ても仕方がない話なのだ。
はっきり言ってしまえば、「ブルーロック屈指のブロマンスコンビ推し向けのファンムービー」でしかない。二人がいちゃいちゃしたりケンカしたり仲直りしたりしていればあとは何でもいいのだ。作り手も、それ以上のことをやっていないし、やるつもりもない。凪の口を時折ミッフィーにして媚びていればいいと考えて作っている。
U20との試合がこれから始まる、というところで映画は終わるが、この試合を2時間にまとめたらハイキュー並みの傑作になったのかも知れないと思ったが、そんなことができる座組でもないのだろうか。だとしたら期待するだけ無駄だろう。わたしは大人しく原作を読んでいることにする。
不乱苦

不乱苦