はる

さらば、わが愛/覇王別姫 4Kのはるのネタバレレビュー・内容・結末

3.5

このレビューはネタバレを含みます

あらためて、フィクションは祈りなのだなと思った。兵も見捨てた王の側に寄り添って、最後を遂げた姫。その死の美しさ。本当かどうかは大事ではなく、ただそこには「そうであってほしい」という祈りだけがあるのではないかとぼんやり思った。
覇王と虞姫を演じる二人は、舞台のように美しくはあれなかった。覇王を演じた小楼は王のように威厳を保てず、暴徒に屈して愛を裏切る。捨てられた蝶衣は彼の側で死ぬことをよしとせず、菊仙の裾を掴むようにして道連れにする。
菊仙と蝶衣の関係が印象的だった。同じ男を愛したが故に互いを憎み、理解し、時にいたわり合う。蝶衣にとっては菊仙が遊女であったことも、自分を捨てた母を思い起こさせて嫌だっただろうか。二人の関係は恋敵でありつつも、姉と弟のようでもあり、母と子のようでもある。
小楼が蝶衣を捨てたとき、まるで自分のことのような顔をしていた菊仙の顔が印象的で、一番印象に残った。
人間、醜すぎ!
はる

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