mさん

ミッシングのmさんのネタバレレビュー・内容・結末

ミッシング(2024年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

もうねえ…めっちゃしんどかった。
まず体感時間、いい意味で長かった。
2時間の作品じゃない。あの子が見つかるのか見つからないのかのサスペンス映画じゃなくて、もはやある程度の予想がこっちには付いてて、それでも2年後になって、彼らの生活はずーっと映し続ける。つまり何も進展がないのに映画は終わらずにずーっと続く。
そこでつまらないなと思ってる自分は刺される。結局目の前のことを面白いかどうかでしか判断してないメディアとかテレビを楽しむ人の1人でしかないって気付かされる。
なんかすごい素晴らしきこの世界に似た感覚を思い出した。だけどあっちは一見なんの変哲もなく変わらない日常を映してるだけなのにものすごく豊かに見えるっていう。何も起きないけど豊か、っていう構成なんだけど、こっちは
何も起きない、だからといってつまらないとか、そういう気持ちになったらアウトっていうそういうこちらの誤った思考を摘発する構成になってる。だから見ていてずっとすみませんと思いながらみてしまった。

もちろんこの映画はずっと重い映画ではない。
最後何も状況は解決してないけど、それでもそんな状況を笑うしかない。散々温度を感じないと言ってた、彼女自身の温度が変わっていき、勝手に乗り越える兆しを見せ始めていくというラストは、かなりポジティブなエンディングですらある。けど結局それは当人だけが許されている境地だと思うし、彼女の「どれくらいわかったつもりでいるんですか?」という言葉が観客に投げかけれれているのが全てだと思う。やっぱり2時間じゃどうしてもその人の苦しみはわからないし、わかってはダメだと思うし、だから当の本人たちは何年も苦しい中いたからそういう心境になってもいいけど、自分たちはそういう気持ちになることは許されていないように感じた。だから結局自分にとっては苦行のような映画であることには変わりないし、
映画の狙いとしては成功してると思うけど
かなり重い映画体験だった。

石原さとみさんの演技はめちゃくちゃすごかった。もう本当に役者魂というか、彼女だって言ってしまえばこちら側の人間なのに、全然嘘を感じない。髪の痛みってよりかは、もう顔と声の演技がすごかった。警察署の引き取りのシーンは本当に見てて辛かった。


とはいえこの類の映画の中ではかなり見やすい。起こる出来事はショックだし辛いけど、基本感情的なキャラがお母さんだけで周りは、受け止めてくれるから、そういうのはよかった。悲劇が悲劇を呼ぶ感じにはなってなかった。
mさん

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