ウォシ

ミッシングのウォシのレビュー・感想・評価

ミッシング(2024年製作の映画)
4.4
娘の失踪事件から未解決のまま数ヶ月後…
世間の関心が薄れた中でも捜索を続ける家族の地獄のような苦しみ…

「空白」「神は見返りを求める」に続く苦しすぎる人間ドラマに絶句。

被害者家族に向けられる誹謗中傷。
悲劇の主人公を演出させるメディア。
祭り上げられる無実の容疑者。

全ての鋭すぎる悪意で袋叩きに遭う。

世の中の関心って「面白い」が基準なんだと思わされます。
実際に悲惨な事件が起きた時、被害者家族に抱く感情って実はエンターテイメントの感覚で消化してるんじゃないかと自己嫌悪に陥ります。
「何て可哀想な人なんだ…」と勝手に哀れむだけ哀れんで何もしない。

最もゾッと背筋が凍ったのは「虎舞竜ツッコミ」のシーン。
泣きながら語る娘への思いに対して「何でもないような事が幸せだったと思う」のセリフに自分も頭にそれが浮かびました。
それを見透かしたかのように劇中のキャラもツッコむ。
あの切実なシーンを観てもなおそう思ってしまうと言う事は、お前も結局事件をドラマ感覚で消化してるんだぞ!と突きつけられた気がしました。
あれを小ボケと受け取って笑う人が誹謗中傷に走るんだろうな…

本作は泣いてるシーンが多いです。
個人的に泣き顔を見せまくる映画は嫌いですが、本作は一つ一つの涙が本当に苦しく、そのやるせなさでこちらまで涙ぐんでしまう。
壊れるほど流れ続ける涙。
堪えに堪えてついに決壊する涙。
涙なんて無縁と思われた人物の不意の涙。

影で落書きの頭を撫でる。
そんなあまりにもささやか過ぎるショットが僅かな救いの画になるほど辛過ぎる映画です。

子供の失踪事件。
果たして本来すべき事を見失わずにいられるか。
観る者のモラルが試されます。
ウォシ

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