ウォシ

違国日記のウォシのレビュー・感想・評価

違国日記(2023年製作の映画)
3.1
事故で両親を失った少女と人付き合いが苦手そうな小説家が同居する話。

原作未読。

他人は自分とは違う人間だし、相手の事を理解する事はできない。
理解しようとしたとて結局自分の解釈で飲み込んでるだけなのでどこまで行っても自分と違う人間でしかない。

そんな割り切ったドライな考え方での交流はなかなか面白かった。

「こうゆう事言ったら、こう思われるのでは…」
「考えを改めさせる為に、こう言わなければ…」
そんな事あれこれ模索しても意味はなく、自分の中で良い方向に捉えて解決させるしかない。
相手の言動を悪意と捉えるか善意と捉えるかは自分の匙加減。
気遣った事を言ったつもりが、相手には何も届いておらず逆に怒らせる事になる。

寄り添うようで寄り添わない。
けど突き放しはしない。
そんな絶妙なバランス感が、思春期の少女と人見知りな小説家のどこかサバサバした掛け合いに表されていて良かったです。

ただ全体的に女性向けな感じが強めなので、男である自分には取っ付きにくく感じるところもあった。
登場人物がほぼ全員女性なので女子会というか女子校ノリのようなシーンが多い。
何でもかんでもすぐ恋バナに持って行きたがったり、過度なスキンシップで戯れ合う感じとか。
(これに関しては良い悪いとかではなく、あくまで自分の感覚での話です。)

物語としての展開より内面描写重視というところも、「そこはそんなに掘り下げなくても…」と思ったりする。

また死んだ父親の存在が「籍を入れてなくて名字も違う」という設定にするなど不自然なくらいいないものとして扱われてたり、留学が男子優先にされ女子を対象外にする事件が特に意味もなく起こったりと所々男性に対する排他的な目線もあったように感じてしまった。
(あそこで「体力のない男子もいます!」と返すのは、そうゆう男に価値はないと言ってるようなものでだいぶ棘がある気が…)
特に掘り下げる事もなく要点だけかいつまんでるので、結果的にその描写いるの?と必然性が感じられなかった。

上映時間も内容の割にやたら長いのも残念。

いろいろ首を傾げる部分だったり好みに合わない部分もあったが、感傷に浸り過ぎずウェットになり過ぎない良い塩梅の人情ドラマは印象的でありました。
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