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ミッシングのsekaiseのネタバレレビュー・内容・結末

ミッシング(2024年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

休日の昼間に見てよかった。夜だと受け止めきれないだろう。重厚で鬼気迫る映画だった。

脚本は娘の失踪に焦点があたり、家族や報道視点で物語が進んでいく。どの場面にも希望が見えず諦観や戸惑い、懺悔、誹謗中傷の残酷さや報道の無機質さなど、嫌というほど見せつけられる。

沙織里(石原さとみさん)の必死で耐えている表情やデマにさえ縋る様子に胸が痛み、途中現実なのではないかと、映画を見ていることを忘れてしまった。砂田(中村倫也さん)には同情というか、中間管理職の苦悩が滲み出ており苦しくなった。

また宇野さくらちゃんが見つかった時、
沙織里の目から涙が流れたが、
何を語らずとも心境はすぐに伝わった。


ラストに娘の落書きに虹がかかるシーンでは、娘を失ったとしても一緒に過ごした時間は消えず手でキラキラと儚い記憶として残るんだと温かくなった。

個人的には「子どもを持つ責任」をありありと感じた。この社会で子どもを守る方法はあるのか。おそらく完全な正解はないと思う。いつ、どこに危険が潜んでいるのか分からない。ただ守りたいという純粋な想いで育てるしかない。
そう思うと自分を守ってくれた家族には感謝しきれない。父の日が近い。

映画館を出て、ショッピングモールをあてもなく歩いていると子ども達がたくさんいる。ふと、急に失踪事件や北朝鮮の拉致が身近に感じた。もしビラ配りを見かけたらちゃんと受け取りたい。


舞台挨拶にて吉田監督のコメント。
「物事に折り合いを付ける話というより、折り合いを付けるのが無理な状況にいる人が、この先、生きていくには何が必要なのかをテーマにしたいと思っていました。このシチュエーションの場合、沙織里自身が自発的に変わらないと前に進めない。一番つらいはずの自分が他者のために行動することで、それが一周回って自分に返ってくる。そういうことが救いになるんじゃないかという願いを込めています」
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