傑作『空白』(Blank)からまたさらに次の段階へ到達した吉田作品のマスターピース(Masterpiece)になるであろう大傑作。『空白』における、手遅れ状態からいかに関係者が希望を見出していくのかというドラマは通底しているけれど、『ミッシング』(Missing)は事件が解決する(娘が戻るかもしれない)という可能性という希望が1%でもあるが故の、(これからの人生を生きていくうえで)それ以外の希望を見出す困難さという踏み込み方をしている。マスの描写もより生々しくなっており、誹謗中傷を扇動するようなドキュメンタリィを放送しながら誹謗中傷への訴訟を旦那が行うニュースを取り上げるという矛盾やそもそものTVドキュメンタリィの作られ方における問題点(周年特集的なものとか)など、メディアの側の視点を通して丁寧に描かれている。それでいてブラックコメディ的でもあり、笑えないけど笑ってしまうような場面が多々出てくる底意地の悪さ(褒め)もあり。パブリックイメージを壊したいのであろう石原さとみの力の入り方も良い方に作用していたと思う。