石原さとみ主演、の、吉田恵輔の新作、というところで揺れに揺れて遂に見た。
特段石原さとみだから、という理由は抱いていないつもりだったけど、私の求める吉田映画はそこにあるのだろうかと常に不安だったのかもしれない。
主演に石原さとみというスターを招いたことで、“吉田恵輔“が若い男女に届いた。公開から1ヶ月経ち重い腰を上げ劇場に向かったら、20代の男女グループが多く流れ込んできた。これは「空白」と明らかに異なる現象で、なんだかウキウキソワソワした。
映画は、正直なところパンチが弱いように感じたけれど、とてつもなく繊細に描いたのだと思った。抉るように人間を描く吉田監督の剥き出しの映画に傷つけられ、癒されてきたので、なんだかこの映画はすごくすごく「綺麗」だった。
ただ、微動する日常と心情を薄く薄く重ねていく作業はやはり並大抵の作り手には出来ないことだとも思う。
ところで石原さとみの演技だが、どうやっても石原さとみだった。市役所で泣き崩れる演技にはおお...!となったけれど、青木崇高の父親役の方が逆に際立って見えた。
うーん、犯人逮捕はさておき、もう少し煮詰めていける物語だったような気がしてならない。