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ジュリア(s)のmasahitotenmaのレビュー・感想・評価

ジュリア(s)(2022年製作の映画)
3.0
オリビエ・トレイナー監督の長編デビュー作。
ひとりの女性を主人公に、彼女が歩んだ現実の人生とありえた別の人生を交錯させながら描いたヒューマン・ドラマ。
原題:(仏)Le tourbillon de la vie、(英)Julia(s) (2022、PG12)

1989.11.10、アムステルダム。
プロのピアニストを目指して音楽学校に通う17歳のジュリアは、ベルリンの壁崩壊のニュースを聞き、密かに同級生たちと家を抜け出してベルリンに向かい歓喜を分かち合う。ところが、壁の前でピアノを弾く写真が新聞に載り、親に黙って出かけたことに腹を立てた父親と疎遠な関係になる。
また、別なジュリアはパスポートを部屋に置き忘れ取りに戻って見つかり…。
やがて彼女はポールと本屋で出会い結婚し、別なジュリアは…。

ベルリンの壁崩壊時を起点に、
パスポートの置き忘れ(ベルリンに向かうバスへ乗り遅れ)の有無、
本屋での運命的な出会いの有無、
ピアノ・コンクールの結果、
バイクの運転を自分がしたかポールがしたかなど、
幾つもの分岐点を経ながら枝分かれしていくさまざまな人生に
今80歳になったジュリアは思いを馳せる。

・ジュリア(ルー・ドゥ・ラージュ):主人公。
・母アンナ・フェインマン(イザベル・カレ)
・父ピエール(グレゴリー・ガドゥボワ):厳格なピアノ職人。
・親友エミリー(エステール・ガレル)
・ポール・ソレル(ラファエル・ペルソナス):本屋で出逢う青年。結婚相手。
・ヴィクトル(ドゥニ・ポダリデス):ピアノの指導者。
・ガブリエル(セバスチャン・プードル):教え子の父。医者。
・マルクス(マルクス・グラーザー)

「人生は偶然の積み重ね?
それとも最初から決まってる?
運命を決める要素は行動?選択?それとも出会った人たち?
ささいな偶然が大きな転機になる」

別な人生があり得た。
だが、歴史と同様、人生にもし(if)…はない。
したがって、別な人生はあり得なかったのだ。
(過去を振り返れば人生は自分が創ったもので、未来を見れば人生は自分が創るもの)
なお、この作品は、主人公の様々な人生を見せるために画面が頻繁に切り替わるので、感情移入する前にワンシーンが終わるのが残念。そのため俳優の演技が生かされない(演技に深みが感じられない)という主題とのジレンマ。
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