月うさぎ

私がやりましたの月うさぎのレビュー・感想・評価

私がやりました(2023年製作の映画)
3.5
現代のクライム・コメディと思ったら、1935年のフランスが舞台のフェミニズム映画でした。
女友達がとても仲睦まじく素敵な関係なのも珍しく(レズビアン描写もなく嫉妬描写もなく)、女性監督に違いないと思ったらなんとオゾン監督(男性でゲイの方)だった。二度ビックリ。

有名映画プロデューサーが自宅で殺害され、容疑をかけられたのは、売れない若手女優マドレーヌ。
無実の罪を晴らすどころか「私が殺しました」と「自白」し自ら逮捕される。
そこには親友の新人弁護士ポーリーヌとタッグを組んだ企みがあった。法廷はポーリーヌのかいた「脚本」をマドレーヌが演じる「舞台」となった。
死刑か無罪か?
命をかけた大博打。一世一代の大芝居の幕が開く。

陪審員は全員男性。
これはかなりの逆境です。
果たして女性の主張は傍聴席に届くでしょうか?

原作(戯曲)があるそうですが、主人公を売れない女優と駆け出しの弁護士にしたのは大正解!嘘つきのプロと、弁論のプロ。二人のタッグによって説得力が出ていると思います。
それ以上に警察の捜査も証拠の雑さも容疑者の特定も酷いもので、これで犯罪を裁いていいの?
(確かにお芝居ならこの誇張も気にならないでしょう。でも映画だと、ちょっと違って見えるかも…)

ところで、いつも思うんですけど陪審員制度っておかしいですよね?
有罪か無罪かの2択ってどうなの?
「美女は無罪になる」って聞いた事ありますが、おそらくありえるでしょう。

フランスの当時の社会がどうだったのか、という勉強にもなりました。
この頃、ドイツには女性参政権はありましたが、フランスで女性が投票できるようになったのは戦後、日本の婦人参政権が実現したのとほとんど変わらない時期なのですね。

自由・平等・博愛の国の住人は男だけだったのですね。
女性が自分の尊厳を守るためには命をかけるしかない。
夫がいない貧しい女性は誰にも守ってもらえない。そんな社会に挑戦して道を切り開こうとする二人の異なるタイプの女性を可愛く描いています。

でもこの話はそこでは終わらない。
その後とその先と後日談まである(笑)
しっかりコメディしてます。
そう来たか!って感じ。
正直いうともっと別の展開を想像してました。
私、人間がひねくれてるのかもしれません。

エンドロールの後日談に「?」と思ったのが3つほどありまして。
彼はなんでそうなった?愛妻家ではなかったの?最後の記事はなんだったの?

確かめたいけど。今はわからない。気になる〜。
わかる方いらしたら教えて下さい。
月うさぎ

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