宇毘友鵶

首の宇毘友鵶のレビュー・感想・評価

(2023年製作の映画)
3.7
 正直たけしの演技がド下手すぎた。大概だった戦メリの頃からあんま変わってないんだもんな。今回の秀吉像は周りを上手く使うタイプで、これもよくある「剽軽だけど策略家」って感じでも無いんだが、むしろそういうキャラ造形にした方が良かったと思う。それだったらあの演技でも際立ったんじゃないか。
 そもそも論になっちゃうけど、さすがにお爺ちゃんすぎるぜ秀吉。当時四十過ぎぐらいでしょ。あんなヨレヨレだと壮年の覇気が感じられない。

 とはいえそのほかは相当良かったと思う。まず衣装と人間がちゃんと汚い。これだけでもその違いに感動する。あと人の命を屁とも思ってない奴らの現代人には相容れない倫理観の違いを描くのが上手。「普通の」監督が持ってる常識のブレーキを外した感じで、ヤバい奴しか出てこない。悪夢みたいな世界で最高。

 総評として、俺は結構好き。だけど賛否は分かれると思う。時代劇の皮を被った別の何かなように感じた。

 ……あと男色描写が出てくるのだが、不思議とあまり違和感を感じない。おそらくはポリコレ配慮やら自己実現やらを表現しようとしてないからだと思う。かといって過度に戯画化しても無いのも良い。本当にドライ。
宇毘友鵶

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