そこそこ核心に触れるのでまっさら気持ちで観たい人にはスルーを推奨する。
『アウトレイジ』でシリーズ発明した「全員、悪人！」メソッドをベースにギャグの抜けの良さと揶揄の切れ味に力点を全振りして描かれた戦国武将達の浅ましく残忍な所業に何回も声を出して笑って（嗤って）しまった🤣🤣
ハッキリ言って映画的であることを積極的に放棄してる。この手法、ゴダールやフェリーニの影響もろ出しの所謂、キタノ映画好きにはえらい評判が悪い。確かにその切り口で観ると噴飯モノだろう。でも、おれはその路線のたけしの作品、まったく好きじゃないから本作を屈託なく評価する（キタノ・ブルーとか青いから何なんだよ🤪）。
公開前のインタビューでの「あの人達（戦国武将）はろくでもないもんなんです」の言葉どおり信長も秀吉も光秀でも残忍な利己主義で我欲の塊に描かれる。権威を嗤え、嘲ろ！お笑いの鉄則と良識を知り尽くした男、お笑い芸人としてのたけしの真髄に触れた気がした。
ここが強者目線で弱者を嘲るしか芸がない松本人志と根本的に違う。
歴史パロディ・コント映画として『モンティ・パイソン アンド ホーリー・グレイル』レベルの出来だと思う。
思わずモンティ・パイソンを引き合いに出したくなるぐらいこの風刺コント映画はスジとセンスがいい。
なんせ、本能寺の変の原因が荒木村重を巡る信長と光秀の愛憎劇なんだぜ🤣🤣それで思ったけど下ネタでナショナリズムを茶化しまくったトレイ・パーカーの『チーム☆アメリカ /ワールドポリス』的な破壊力もある。
誰一人好感の持てない3人の武将のゲスでバカバカしくうす汚い男色愛憎劇が天下の行方を左右する🤣
男色が鍵になっていて、信長は自分の跡目をエサに思いの家臣をモノにするという歪んだ性癖を持ってる。ここが図らずもジャニー喜多川の性加害問題を風刺している結果になっていて驚いた。
光秀の面前で森蘭丸を犯しながらあれこれ命じる信長はジャニー喜多川にしか見えなかった。ブラックユーモアの毒が結果的に増してる。
たけしは持ってる男なんだな。
それと映画的にお粗末という批判に反論すると何気ない日常の風景に腐乱死体や生首をあちこちに配置した風景演出はバーホーヴェンの『グレートウォーリアーズ/欲望の剣』のように死臭漂う戦国のリアルを実に映画的に表現してた。
映画的な配慮が今までとは違うだけよ😏
とにかく、日本称揚、武士賛美、武将美化という欺瞞的で気色の悪い風潮をギャグで鉄槌を下し粉々に粉砕した快作だぜ💨
