大大

首の大大のレビュー・感想・評価

(2023年製作の映画)
3.3
愛憎と策略が渦巻く織田信長の跡取り合戦と、真面目に生きる芸人たちのお話。

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道化を演じている芸人たちがむしろまともで、武士たちのほうがどうかしてる。

武士たちは仲間内でさえも疑心暗鬼であるのに対し、食いっぱくれないように武家に必死についていく芸人たち同士は純粋な絆で結ばれている。

その芸人に対する賛歌、哀歌ととれるような丁寧な描き方が、信長の跡取り合戦の合間に随所に見られる。



(以下ネタバレ気味)



・家康の影武者が異常に多い天丼の笑いの取り方
・大名行列の大移動で市民マラソンの給水所のようにおにぎりが配られている
・生首がたまにマネキン感強め
・アドリブ演技っぽくなって醸し出される作り物感
・相変わらずコンプラ全無視の黒人イジり

などなど、コント要素が至る所に散りばめられていて、時おり普通に笑える。

明智光秀からビンタを喰らう遠藤憲一さんの演技が120点。

良くも悪くも信長役の加瀬亮さんのイカれ演技が映画全体の緊迫感を支えていて、
信長の死後は、特別意外性のないまま、ただ経過を見守るような感じになってしまったのが残念。

北野武の、加瀬亮による、加瀬亮のための映画。という感じ。
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