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こいびとのみつけかたのbluetokyoのレビュー・感想・評価

こいびとのみつけかた(2023年製作の映画)
3.4
ぎりぎり容認し得る範囲内でハッピーエンドに持ち込んだ、という感じかな。トワくんを見ていると、コミュ障ぶり、社会性のなさぶりが他人とは思えなくて本当に悲しくなる。ADHD、ASD、発達障害、そんなレッテルを貼りたくはないけどね。他のサルにグルーミングのできない哀れなサルという感じ。会話のキャッチボールができない。

まわりの人たちが大人、というか優しいというか、そういうのはいいな。でも、ちょっと注意しなきゃいけない。脇坂先輩が怒りっぽくなったこと。社会性のない会話の通じないヤツは劣等人種だけど、いじめたり、仲間はずれにはしないで相手をしてあげる。でも、それは、自分の力を誇示するため、度量の広さ、寛大さを示すため、いいひとアピール、全部じゃないけど、ちょっと、そういうのが入っている。だから、トワくんが彼女をゲットしたのを見て、しかも、望んでも得られないようなかわいい女性だったりすると、すっごく不機嫌になる。オレが面倒みてやっている分際で、こいつ、なんだよ、ふざけんなよ、である。

だけど、脇坂先輩や、まわりの人たち、いや、ほとんどの人は、根はいい人なんだろうな。そうでないと社会は成り立たない。憎んだり、攻撃したりは、疲れる。仲良く日常を送れるのがまったりしていて気持ちいい。

トワくんのこいびと、園子さんもトワくんとちょっと似ている。同じ空気感というか、同じコミュ障、社会性のなさ、というか、だから、わかりあえるのだ。違う点があるとすれば、彼女は天才的だ、ということか。たしかに、コミュ障の中には、天才がいたりする。園子さんもトワくんを見て、天才なんじゃない、と言ってみたりする。でも、コミュ障の大部分は、たんなる、変なひとで終わるんだよな。

男と女は、付き合うといずれ結婚する。友達夫婦でいいとか、籍は入れないよ、というカップルもいるかもしれないけど、まあ、一般的には、結婚するわけだ。それが、社会というもんだ。

ただ、社会性のないひとにとって、そうなっている社会そのものが最も苦手、残念ながら、受け入れようがない。園子さんみたいに、旦那が、社会性のスペック高め(いい会社に就職して経済的にも生活にも余裕がある)の場合しか考えられない。
トワくんみたいな人には、絶望的にハードルが高くなってしまう。

じゃあ、恋歌は諦めるのか。
そこで、この映画に出てくる「こいびと」(一般的な恋人じゃない)だ。
好きな人とわかりあいたい。好きな人と寂しいから一緒にいたい。でも、結婚が不可能だから、そういうのも諦めなければならない。それじゃあ、あまりにも悲し過ぎる。だから、「こいびと」。
現実的ではなく、ファンタジーだけど、ファンタジーだとしても、あったらいいな、そんな「こいびと」の関係。そう思わせてくれる映画だ。
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