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若き仕立屋の恋 Long versionのmmoeのネタバレレビュー・内容・結末

若き仕立屋の恋 Long version(2004年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

仕立て上げられる旗袍がひとつひとつ素敵だった。
体の形や布から透ける肌の色、装飾のきらきら。触れたいと思わせる肌触りを衣装から想像する。


クーリンチェの少年、こんな色っぽい素敵な大人になるのか…と思ったのだけど、徴兵されて軍隊で務めた後の張震ということを知り、肉体の厚みに少し悲しさを覚えた。


ホアさんの強い人として記憶されていたいというプライドと、それに寄り添おうとするチャンの恋心と。


たった一つの出来事が、ホアさんの存在を周縁化させる社会の脆弱さにすごく腹が立つ。その脆弱さを形作るのは何なんだろうと思う。
その怒りをチャンと分かち合っているということが、私の中で大切なものになる映画体験だ。


ホアさんとチャンの最初の出会いのやり取りは、少し怖い。それがチャンの心にホアさんが棲み続ける出来事となるということがとても怖い。


花様年華は思い出すと食欲が湧くけれど、若き仕立て屋の恋は性欲が湧く。


「手」というと手のひらや甲を思い浮かべるけれど、腕から指の先を含めた手を意味する「The hand」であるように思う。


旗袍から伸びる手の美しさと。肉体に触れる欲望と共にアイロンをかける手と。
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