朝バッチ

キリエのうたの朝バッチのネタバレレビュー・内容・結末

キリエのうた(2023年製作の映画)
1.0

このレビューはネタバレを含みます

あまりの乱暴な出来栄えに怒りすら込み上げてきました。

まず映画っぽい・切ない風の演出があまりに陳腐で、各シーンが「感動風」ってことだけを達成してれば良いというような安っぽい点が非常に気になります。
・アイナと赤の他人である黒木華が、保護されたアイナと自分が関われないことについて警察にブチ切れるシーン(頭おかしい)
・アイナを匿うものの誘拐だとされ奪われてしまう松村北斗(実際誘拐に当たるでしょ)
・ナイフで刺されてもアイナのために走る広瀬すず(このシーンのために結婚詐欺師で被害者の恨みを買う役にする必要がどこにあるのか、ただの犯罪者に全く同情出来ない)
・警察の妨害にも応えず歌い続けるアイナ(許可取ってない主催者に非があるにも関わらずまるで警察が悪者みたいな描き方)
ちょっとでも真面目に考えたら負けのシーンばかりです。

またこの雑さを誤魔化すため時系列をグッチャグチャにし、各シーンを切り貼りする演出を施しています。
時系列通りで言えば、「広瀬すずに再会し歌手活動の協力してもらうアイナ→結婚詐欺師だとバレ、何も言わずに失踪する広瀬すず→なんか帰ってきた広瀬すず→二人の絆!」っていうどこに感動すれば良いのかわからない流れ。これを紛らわすために「過去→更に過去→更に過去よりは最近の過去」と場面が変わりまくる。客を混乱させてしまえばいいという考えが伝わってきます。
結局ストレートに良い映画が作れないからこういう小細工をするのではないかと思いました。

この映画が何もしたかったのか見終わった時には全く検討がつかなかったのですが、他の方のレビューで音楽映画というワードがあり納得しました。
つまりアイナジエンドの魅力を映画というパッケージに収めるため、クソでも屁でも構わないので尺を稼ぐためのストーリーをペタペタ塗りつければ、後は歌唱力のおかげで感動に値するだろうってところですよね。

よく漫画の実写化映画を引き合いに出し「日本の映画はクソだ」と言われますが、そんなのより本作の方が余程日本映画の評判に傷をつける駄作なのではないでしょうか。

今まで見た映画の中でダントツのワースト1です。

最後に、東日本大地震をあんな安易で薄っぺらく取り上げるのは、映画以前に人としての感覚に疑問を覚えます。
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