金春ハリネズミ

キリエのうたの金春ハリネズミのレビュー・感想・評価

キリエのうた(2023年製作の映画)
4.7
ありあまる富が、何人も幸福にするとは限らないように。
あたりまえの日々が、ある日簡単に破壊されてしまうように。

世の中に正しいことなんてのは凡そ殆どなくて、誰かを本当の意味で救えるなんて思うのははっきり言って傲慢だけども。

そんな退屈で残酷な、くだらないこんな世界でも、彼女の歌声にはそういう、お花畑で馬鹿げた希望みたいなのを、信じたくなる力がある。

先のことを考えたって、どうなるかなんて確証はないし、今を後悔しないように、間違えたっていいから、一歩ずつ歩んでいきたい。ぶつかっても、ふり落とされてでも、泥臭く粘って、いつか全部を肯定してくれる奇跡、Magicを待ってる。
綺麗事だけど、岩井俊二の映画にはそれを叶える力がある。

アイナ・ジ・エンド演じるキリエの歌声がそうであるように。