板倉裕聖

キリエのうたの板倉裕聖のネタバレレビュー・内容・結末

キリエのうた(2023年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

これこそ「君たちはどう生きるか?」じゃん。

いっこちゃんは結局ああやって生きるしかなかったのかな。女を武器にした生き方は嫌だとか言っといて東京で結局女を武器に生きて朽ちてしまうんだ。いっこちゃんの東京パートについては全く描かれないからこその不気味さとミステリアスな怖さがすごいよかった。もっとちゃんと見せてくれたらこのキャラにあんなに惹きつけられることも殺されてうえーってなることもなかっただろうに。そのへんずるいな。逆に高校生パートをちゃんと描いてるからほんとにどうしてだよってなる。映画を通してのいっこちゃんの描き方が独特でそれが凄く作品の重厚な感じを演出してた。恐ろしや

アイナジエンドがばっちりハマりすぎてた。歌がめっちゃ良いから脚本の説得力もちゃんとあった。なぜか最初の路上ライブシーンで泣いた。途中姉ジエンドがほぼほぼ同じすぎてちょっと困惑したけど。(脚本の構成も相待ってね)
キリエはただただひたすらに良い子だったな。主人公があんなに純粋で良い子なのに映画ってここまで面白いのすごい。ただ対照的に社会っていうか世界がゴミすぎる。震災もそうだけどその後のキリエに対する社会のアプローチとか、東京に出てきたいっことキリエに対する仕打ちも。だけど完全に悪い人間を描いてもいない。出てくるキャラ全員まあそうだよねってなる人しかいない。誰が悪いわけでもなく誰かを対象にして恨むこともできず。今の社会への皮肉が効きまくってる。

純粋に努力して頑張っても報われないし、ただただ純粋に大切な人たちとの幸せな未来を信じて願っても救われない。どう生きたら良いんだよ。どうすれば私たちは幸せに生きていけるんだ。そろそろ教えてくれる映画を誰かつくってくれてもいいんじゃないか。

はあーこんなん見せられたらしんどくなるよ。これ観てから1週間鬱だよ。勘弁してほしい。

また観に行きたいな。
板倉裕聖

板倉裕聖