Kuuta

PERFECT DAYSのKuutaのレビュー・感想・評価

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)
2.6
これは好き嫌い分かれるでしょうね。私はダメでした。

制作の背景はこれ読むと大体わかる
https://note.com/story_study/n/na4dff9fb9db0

ブランディングにアートを絡めて、何なら海外の有名監督にって発想がしんどいし、持てる側が「文化資本の高いトイレ清掃員の清貧さ」に共感して悦に入る感じにうっ…となる

ヴェンダースは何を撮っても虚構になること、映画が何も描けないことに自覚的な人。「(影の濃さが)変わらないはずがない」と自分に言い聞かせる場面は、確かに記号しかない、影しかないこの映画を必死に肯定する悲痛さがある。

でも、東京画のヴェンダースはこんな東京撮らなかったよ ローで回してなんか違うと首を捻り、小津のいない東京で模造品の山を追いかけていた。今作は最初から記号に振り切ってるからそういうアイロニーがない。制作経緯そのものが90年代から繰り返される日本の諸行無常である、という巨大なアイロニーを、あの陰踏みのシーンは受け止めきれていない

インタビューによると、夢のような存在として平山を描く予定が、役所広司の演技に引き込まれて次第にドキュメンタリーを撮っている感覚になり、映画を作るのが「楽になった」らしい。ヴェンダース東京来るとテンション上がりがちな気がするし、観光客気分もある程度は尊重されるべきだとは思うが、プロデューサー始め周りの日本人はもう少しコントロール出来なかったのか。神主がペコリと頭を下げた場面で鑑賞意欲が途切れてしまった。ヴェンダースが日本で流行ってた時代を知らない世代ですが、こういう映画はダサいと思います。
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