今年の締めくくりが、この作品であったことが嬉しい。
じんわりとした温かさと、ちょっぴりの寂しさの匙加減が素晴らしく、とても心地良かった。
ストーリーは、清掃員おじさん平山の、一見変わり映えのしない毎日を追ったもの。
同じ行動の反復の中で、さりげない幸せや自分だけの喜びを見出していく様は、『パターソン』を彷彿とさせる。
無口な平山の、基本的には同じ日々が2時間映されるが、全く飽きない。
こういう性格なのねぇ！過去に何があったのかな？あ、これは私も好き！
など彼がどんな人なのか気になってしょうがない。
鏡越しの姿や、表情だけのシーンが多用されており、平山にしっかりフォーカスさせる作りになっているからだろう。
でも何より、役所広司の表情と所作！
観る側への余白を残す演技がなせる技だし、脇を固める役者達の力だよなぁ。
平山と全く同じ生活をしたいかというと、頷けない。けれども、その瞬間にしか感知出来ない光、「木漏れ日の美しさ」に足を止められる人であり続けたい。
外国の街並みがステキな映画を好んで観ているけれど、この作品は東京をキレイに撮っている。首都高やスカイツリーに親しみが湧いたの初めてだ。
それにしても東京のトイレはハイセンスだなぁ。
