bayuyu

PERFECT DAYSのbayuyuのネタバレレビュー・内容・結末

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)
4.8

このレビューはネタバレを含みます

言葉を削ぎ落としたくなった

寡黙の魅力
言葉だけが、話し方だけが、優しさじゃない
全部言わなくてもいい
全部言葉尻詰めなくていい

姪の母が迎えに来たシーン
「だめだ、行きなさい」
じゃなくて
「またいつでもおいで」
なんて、違うんだろう


言語化とか、おしゃべりとか、
私を認めてもらうものでしかなかったことに気づく

伝えすぎてしまうことでこの先自身が枯渇してしまう不安、
伝えなさすぎて離れていってしまう不安があったけど、そうじゃなかった
生きていけば、不思議と言葉の中にその人が宿る
「同じ言葉を使っているのにね、どうもこんなに違うんだろうね」

役所広司さんと三浦友和さんが交じり合うシーンが本当に良かった
今まで、私っていう人間を勘違いしてもらわない為に一生懸命話してた
相手と会話する為に、言葉ってあるんだな

余計な物削ぎ落として、削ぎ落として
表現できたらいいのに

幸せ満タンの日々を目指して、トラウマの払拭、克服を考えてばかりだったけど、
悲しみってちょっとあったりするんだなって思った
消えないんじゃない、人生に悲しみはある

雨でも、同じところに行く
誰かの音の中で生活する
そして私の音も、誰かの生活の中にいたりする
あ、今日はあのおじさん、缶コーヒー2本買うんだ

そういうことを思う


影って重なると濃くなるのかな
変わらないってことはないんだと思いますよ
影踏みして疲れちゃうなあって

日々の慈しみを感じながら、眠かったりもする

大好きな木漏れ日
毎日同じ木漏れ日ってないんだな
その日の木々の成長と風、陽の光、季節の陽の傾き
良い写真を撮る為に撮り続けてるわけでなくてもいいんだ
木漏れ日を見つけてレンズをかざすその喜びみたいなもの

愛おしい しびれた映画だ

エンジンを切ると車の音楽もばちって切れるところが好きだった
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