アーリー

PERFECT DAYSのアーリーのレビュー・感想・評価

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)
5.0
2024.1.10

初ヴィム・ヴェンダース。初めて聞いた監督。

めちゃくちゃ面白かった。面白かったというかすごく良かった。公衆トイレの清掃員の生き方をずっと観てる。朝目覚め、歯を磨き、植物に水をやり、家の前の自販機でコーヒーを買い、カセットをその日の気分で選んで車を出す。ほとんどルーティーン化された動きが気持ちいい。仕事の後も銭湯行って、いつもの店で一杯やって、帰宅して本を読み寝る。まさに「こんな風に生きていけたなら。」こういう生き方ほんまに好き。

ジャームッシュの「パターソン」を思い出させるけど、今作には少し「影」がある。役所広司演じる平山の人生の中で一定の期間を切り取っている。もちろん映像になっていないだけで、彼にはそれまでの人生とそれからの人生がある。彼にしかわからないことなど、スクリーンの向こう側の人しかわからない過去や感情が垣間見える瞬間があって、そこを想像させる作り。
変わらない日常。変えないようにしているようにも見える。そんな彼が三浦友和に変わらないなんてそんなことないですよという。そして最後の顔アップ。泣きたいのか、笑いたいのか。泣きそうになっているのを無理やり笑顔を作って誤魔化そうとしているようにも見える。これがいい、ではなくこれでいい。そんな含みを持たせるラスト。そして余韻。役所広司の顔の演技が最高やった。

すごい良かった。ヴィム・ヴェンダース掘り下げていきたい。
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