かげぐち

PERFECT DAYSのかげぐちのレビュー・感想・評価

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)
3.5
さすがヴェンダース、グッと来るカットは多かったしTOKYOの光をこれほど素敵に撮れる人はいないのだろう、けど大好きとは言い難いかも!
過去のフィクション作品は舞台が海外だったからかちょっとした香ばしさを異文化要素に変換しプラスに捉えられていたけれど、もしかしてヴェンダース作品ってめちゃくちゃ香ばしいのかしら!?

年末にみてモヤモヤしてしばらく温めていたが評価変わらなそうなので感想あげちゃう
“敢えて”シンプルな生活に身を投じ、しがないトイレ清掃員とは名ばかり超キレイな公衆トイレにしか当たらないインテリ自閉おじさんの自己満な日々をみて「こうあれたら良いのにな」等とは微塵も思わない
育ちが良く自閉気質の男性という稀有な特性があるからギリ可能な物語であって
人格や努力で手に入るような人生じゃないのが絶望的に思える この人の人生は木漏れ日のような日々ではまったくないぞ。

ただ、あの素晴らしいラストカットで複雑な価値観をもった作品だったのか〜とハッとさせられたから、私が決めつけ視点で観ちゃったのが悪かったのかも


で、どうしてもジャームッシュのパターソンと比べてしまう
パターソンの主人公はもっと不特定多数から無作為に選び取った無名の人 感があった。なぜ、育ちが良く生まれつき人格容姿に優れ日々に美しさを感じ取ることができる繊細な感性の持ち主をこういった作品の視点として置くのか。湧いてくる感情は「こうあれたらいいかもですねーフンフン(他人事)」にすぎず、良くも悪くもファンタジー、切実さは何も感じられない。企画の意図がよくわからない。
姪っ子や金髪女性の衣装や立ち位置が不自然でよりファンタジー感が増す。男の作った映画だなと思った。

もういっそ役所広司を天使か妖精にしてくれたほうが潔くてよかった。

サントラは大好きだった!!

・好きだったポイント
シフト突然増やされてちゃんと怒れる役所広司
・影踏み(これはさすがにうるっときた)
・妹との抱擁