最後の決闘裁判と類似したテーマを感じた。
脚本がとにかく素晴らしいが、画も緊張感がありスリリング。運転のシーンなど本筋と関係のない部分でちょこちょこ冷や汗がでる、いじわるで巧みな作り。
“解剖学”という題がシンプルで皮肉っぽくて良い。
すべて客観的に・科学的に一つの答えを導くには限界がある場合でも人の手によって物事を裁かねばならない社会で、
もっともらしい形式をとって感情や人格までも“解剖”しようとする姿勢は醜いが、一生懸命で美しさすら感じる。
解剖という行為はとてつもなくグロくて、これがこの作品の面白さにつながる。夫婦喧嘩のリアルなグロさ、アリ・アスター作品を一緒にみちゃってもヘーキなカップルもびっくりするかも！
真実の定義に気づいた息子は自分の中でまず“解剖”を限界まで試みて真実を“決める”。
事実ではないかもしれないが真実ではある。彼の話すエピソードは創作の可能性もあるが、検察サイドが主人公の小説作品の内容まで審議に持ち出していたことを考えると、このエピソードが事実であるかどうかは重要ではないのかもしれない、などと色々考えた。仮に創作だとしても嘘ではないてきなロジック
ラスト近辺のとある重要な気付き（夫は犬系）は裁判シーンとは離れた視点で描かれ、
主人公サイドと観客だけに与えられた、愛についての判断材料になる。これらの材料をもって、我々も真実を決める。そのもどかしさが最高の余音になっていた。
