馬刺し

PERFECT DAYSの馬刺しのレビュー・感想・評価

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)
4.0

シャンタルアケルマンの「ブリュッセル通り」の系譜。
同じ日々を繰り返す系の映画。(厳密に言えば違う)

トイレの清掃員の仕事も悪くない。そう思ってしまうほどに役所さんの感受性が豊か。強いて言えば、きったねぇトイレをどんな顔して彼は掃除するのか気になった。


ヴィムヴェンダース監督の映画は「パリテキサス」しか見てないけど、ヴィム監督節というかどことなく似ているなと感じるシーンがいくつかあった。

ここからネタバレ注意





父の死の予感、スナックのママの元旦那の癌、妹の娘の思春期など。同じような毎日を過ごしているようで周りの環境は日々変化していく。昔ながらの建物はなくなり、街並みは変化していく。スカイツリーだって最近できたものだ。
トイレだって古いものから新しいものへ変わっている。
彼が毎日撮っていた「同じようで違う」フィルム写真はエピローグの「木漏れ日」の意味と同義だ。

「影って重なると濃くなるんですかね?」のシーン。おっさん同士のかげふみ。「変わってませんね」からの「変わってないわけがないでしょ!!」と、とてもロマンチストな役所さん。いい。エモい。

最後のシーン、役所さんの演技が秀逸。
始まってしまったまる罰ゲームのようにはじまりがあれば終わりがある。箒で地を撫でる朝のおばちゃんにだって寿命がある。
繰り返される日常にも、諸行無常の響きがある。
「永遠なんてない、いつか終わりは来る。」
このことに彼は笑っているのか憂いているのか、あらゆる感情が交差している表情が素晴らしい。最後はの解釈は観客に委ねられる。


p.s
スマホのない生活も悪くない
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