このレビューはネタバレを含みます
2024年初の映画館で観たのがこの作品で良かった。
良い意味でも、悪い意味でも
これは「映画だ」と思わされる作品だった。
「何にもわからないまま、終わっちゃうんだなぁ」
私も同じ事を言っていそうだ。
印象的だったのは、1日1日を区切る時の夢現のモノクロ描写。分かりやすすぎるといえばそうかもしれないけど、今日日なかなか見ることができないと思う。
繰り返しの毎日が、全く同じとはいかずに変容していく様。後半にかけて変化の幅が広がっていくのが分かった。
スナックの場面が好きだった。ママ(石川さん)歌うますぎ...笑
あとは、最後の役所さんの長回しが気になった。
あきらかに意図的な長回しだったと思うけれど
役所さんの表情からうまく読み取ることができなかった感じがする。Feeling Goodとマッチしてないというか...
他の人の感想で興味深かったのは、
彼は本当は清掃員になるような出自ではないという設定が少し残念だ、という点。
言葉を選ばずにいうと、もともと清掃員になるべくしてなった人はこんな生活をしないだろうということ。もともと清掃員を選ぶ人はハイスミスも幸田文も読まないし、木漏れ日をカメラで撮ったりもしない、カセットを収集したりもしない、という思想が滲み出ている事。
持つ者が描く持たざるものの映画。
はたまた、かつて持っていた者が、持たざる者として生きる事を選んだ映画。
どちらの描き方の方が「嘘くさくなるのだろう」と思うと、まだ今作の方がリアリティがあるのかもしれない。