クレミ

PERFECT DAYSのクレミのレビュー・感想・評価

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)
4.4
なんか言葉にするのも野暮な気がする映画ではあるんだけど。

こんな生活がしたいと思わせる…"平凡の中の非凡"という美しき木漏れ日…

…に見せた物凄く孤独で、現実的で、心を掻き立てる"陰"の面と表裏一体な、揺らぎの日常だと自分の場合は受け取りました。

日本の風景を切り取る中で見える"侘び寂び"みたいなものにパッケージングされた、誰にも目を向けられない不安定さだったり、社会から溢れ出した孤立だったり。
平山はその孤立を自ら選び、不安定さをも愛そうとしている。決して交わらなくとも行き交う人々、出会いや別れ、そしてラストの平山の長回しは、なんとも言いようのない感情の交じった表情。

"今度は今度、今は今"に込められた、「何があろうと変わらず陽は上り1日は過ぎていく」という刹那的な時を噛み締める表情、過去への回顧、あるいは不安、喜び、悲しみ、恐れ、安堵…

ポジティブだけでも、ネガティブだけでも無い、言いようのない複雑な感情がそこにあって、「生きることを表現するのって、こういうことなんだ」と思わされた。

役所広司、すげー…
クレミ

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