今更レビューシリーズその1。
月並みかつ使い古された批評にはなるけど、役所広司の演技が圧巻。
映画を含めた全てのフィクションにおいて、無口な人物の魅力や人となりを伝えることって、もの凄く難しいと思うんですよね。しかし彼はその難題に対しての「正解」を導き出し、それを表現しています。そらカンヌ獲るわな.....
勿論、それを下支えするヴィム・ヴェンダース監督の手腕も光ります。『ドライブ・マイ・カー』もそうでしたが、良い日本映画は日本を綺麗に、美しく見せてくれますよね。それが外国人監督によってなされているというのは皮肉ですが。
そんな彼らの才能によって生み出されるラストシーンは、映画史に残るレベルに仕上がっていると言っていいでしょう。
たった1つの長回しを通して私たちは、一見すると家の屋根を省いただけにも見える宣伝ポスター、そして「こんなふうに生きていけたなら」というキャッチコピーの2つに込められた真の意味を、思い知らされることになるのです。