ToscheYuki

PERFECT DAYSのToscheYukiのレビュー・感想・評価

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)
4.0
これは良いリトリート映画。周りを気にせず、ただ「平山」という男の人生に入り込んで、喜びを心重ねていく映画。だからこそ、スマホを忘れ、世の中を忘れ、映画館という最高の空間で観るべき作品でした。

本作は「現代社会・日本社会におけるファンタジー」と解釈しました。
2023年のわりには、現代社会らしくない「ズレ」が多くあります。感染予防やスマホ、汚トイレ、カスハラ、そもそも男性清掃員など。
本作はそんな「今」を浮き彫りにしたいのではなく、むしろその「ズレ」=「ストレス」から距離を置いた生き方。平山のそばにきて、現実から少し距離を置く人たちのように、見ているこっちもそんな距離感を置ける。ファンタジー。

こういったズレに敏感に気づくことこそ、喜びや感動を失っている証拠かもしれません。この映画を観て「ああ、大事なモノって”手にしたもの”すべてじゃないんだ」ときっと感じるはず。

しかし、役所広司の顔の演技、終始すごかったです。
もしかしたらあの顔は、現実に戻る僕らの心を描いていたのかもしれない。
ToscheYuki

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