飛んでく

PERFECT DAYSの飛んでくのレビュー・感想・評価

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)
4.0
19.

時代背景いつ?と思ったら今だった
現像写真を選別して煎餅の缶に入れるとか
カセットテープの戻し方とか
そういう行為としてのノスタルジックは
観る人の年齢によっては懐かしく、
そうでない人は新鮮に感じるんだろう
狭間で生きた私はどちらも分かる気がする
物に見るノスタルジックよりも好き

映画の最初は
なんというか、"外から見た日本"みたいだな
と思いながら見始めた
几帳面で規則正しく生活する無口の男性
近代的なトイレの掃除が仕事

でも見ていくうちに
ホワイトカラーではない自分の父に思えて
几帳面で規則正しく慎ましく
辛いことには黙って耐えるような父が
1人で生活するとしたら
こうなんだろうなと思った

そしてそのうちに
ああ、これは私なのかもしれない
と思い始めた
不思議な映画だった

にこちゃんが
"ビクターは私かもしれない"
というシーンが好き

一緒に暮らしてこなかったとしても
どこか似ている親子というのは
誰かにとっては希望だけど
誰かにとっては絶望に感じると思う

にこちゃんのママが迎えにきたシーンで
ボロボロに泣いてしまった

何度も繰り返される
日常と夢のシーンの表現が
私を現代アートを見ている気分にさせる

正直中年男性の夢みたいな映画だと思う
地に足がついてるウディアレンみたいな

最後の長回しカットに表現される感情を
私はまだ知らない
飛んでく

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