かっこ

PERFECT DAYSのかっこのレビュー・感想・評価

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)
4.0
役所広司と一緒に日々の木漏れ日を眺める作品。

公衆トイレの清掃員としてルーティンワークを徹底的にこなしながら、日々の変化は見逃さずに丁寧に楽しみながら過ごす生活。
平山の表情や態度、所作の温かさ、優しさに和む。
そして、彼を含む世界を描く映像が一貫して静かで美しくて見とれてしまう。

インテリで清貧、ミニマリストに見える平山だけど、家の倉庫にはモノが満載で、後半の展開で複雑な過去を持っていることが分かり、色々なものを押し殺して今の生活に落ち着いていると想像できる。
ラストの数分間で喜怒哀楽を表現するシーン、辛さや苦しさ、楽しさや喜びが複雑に入り混じった人生を見事に表していると思った。

毎日同じ場所から眺めるけど毎日違う空、木漏れ日。
毎週少しずつ異なる週末の楽しみ。
「今度は今度、今は今。」
過去をすべて理解している妹との抱擁。
「何も変わらないなんて、そんな馬鹿な話無いですよ!」
日々を丁寧に過ごす平山の言葉や行動。
気持ちが弱っているときに観たり思い出したら、美しすぎて苦しすぎて泣きそう。
この美しさも苦しさも含めて平山の見出したPerfectDaysなんだろう。

自分は日々の木漏れ日を見逃さずに楽しめているだろうか?
平山と同じ生活はできないけれど、せめて自分にとっての木漏れ日を見つけて日々を楽しむ心を持とうと思った。

個人的に姪っ子ちゃんのくだりはすごく優しくて美しくて不可欠なシーンの連続なんだけど、ちょっとやりすぎてる感はあった。
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