もちろんIMAXで。
オッペンハイマーの成功と戦後の挫折、それに伴う苦悩と後悔が描かれる。
戦後の挫折はともかく、戦前戦中はもっと華々しく描かれるのかと思いきや、
原子爆弾の開発成功直後ですら苦悩と不安がつきまとっていて驚き。
戦前、反ナチスの戦中、反共産主義の戦後、
情勢の変わる世界を生きてきたオッペンハイマーの人生を追っていく作品であって、
核兵器や戦争に対するメッセージどうこうは薄いように感じた。
序盤に出てくる原子爆弾は世界を焼き尽くすという不安、
それが意味は違えど的中していたと語るオッペンハイマー。
ビジュアル的なハイライトはトリニティ実験や実験後の講演なのかもしれませんが、
個人的な真のハイライトはこのシーン。
そしてノーラン作品らしい異なる時間軸が同時に進行して結末に向かう演出。
展開が進むにつれて構造が分かっていくのはそれだけで楽しい。
聴聞会やストローズの公聴会のシーンには最初は混乱させられそうになるが、
蓋を開ければ、回想を通じて過去を描くというギミック的にも、
戦後のオッペンハイマーの立場を描くという展開的にも、不可欠で効果的だったと分かる。
とはいえ、実在の人物の人生を追うという都合上、
「テネット」や「ダンケルク」ほど自由にはできないわけで、
構造の複雑さやそれを理解するという面白さは少し下がる印象を受けました。
直近で鑑賞した「デューン」と比べるとIMAXの必然性は薄いように思えるけど、
低音が身体に響く音響やBGM、スクリーンをフルに使った没入感ある映像はIMAXで観る価値あり。
その題材ゆえに展開やビジュアル面の派手さには欠けるけど、
それは演出や音響効果、俳優たちの演技で補われていて全体的には満足でした。
