かっこ

落下の解剖学のかっこのレビュー・感想・評価

落下の解剖学(2023年製作の映画)
3.5
予告やポスターを見てミステリーだと思って鑑賞したら感性に訴える法廷ものでした。

夫婦関係の落下、夫の物理的落下、妻の社会的落下。
映画という媒体では分かりやすい1つの真実を求めがちですが、現実では事実というのは不確かなもの。揺らぎがあるし波があるし濃淡がある。
個人の人間性も夫婦関係も。短時間で明快に理解できる説明をつけることは難しい。
数多ある不確かで主観的な情報に心を揺さぶられながらも、最後は自分で取捨選択して結論を「決める」しかない。
感情が揺れ動いているのは分かるけど、その前提が分からないのでどういう思いか読めないサンドラの一挙手一投足。
監督や演者としての真実は決めてあるんだろうか。
弱視の少年ダニエルが、視覚的な制約だけでなく何が正しいか分からないという情報面での制約も受けながら
戸惑いつつも最終的にはひとつの結論を導き出す姿が印象的。演じる子役の演技がすごい。
家族に寄り添うスヌープの演技もすごいけど、例のシーンはどうやって撮ってるんだろう。

そんな感じで演技や映像表現、全体の雰囲気に関しては楽しめたものの、検察に対して「こんな証拠でなんで起訴したんすか?」と思って序盤から冷めてしまったのでどうにものめり込めなかった。
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