ミサホ

PERFECT DAYSのミサホのレビュー・感想・評価

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)
4.2
もうそろそろ上映も終わりに近づいているかもな…と、観に行きました。本作は、何回か…というより何回も観に行こうとして、チケット売り切れてたり、タイミングが合わなかったりで、今頃になっちゃいました。


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終盤にかけて良くなる作品でした。

…というのは、外国人であるヴィム・ヴェンダースが日本を撮っているので、前半から中盤にかけては、観光PRの動画かってくらい、ザ・東京、The 日本を切り取り過ぎていて、少し冷めてしまったのが正直なところでした。

それでも、“木漏れ日”を始めとする、風景の描写は見事でどれも美しかった。平山さんちの2階に差す西陽ですら。

トイレ掃除のユニフォームは、スタイリッシュでしたね。役所広司さんも背が高くてスタイルが良いので、フツーに格好良かった。あれは映画用ですよね。

トイレもモダンで、どれも綺麗だったし、建築物としてもカッコがついていて、まるでトイレの品評会さながらでした。いかにも映画的。

まあ、本作はやはり役所広司さんの存在に尽きるので、“観光PR”的な部分には目を瞑りました。監督の意図としても、トイレがいかにリアルかではなく、“人間・平山”を描くのが目的なので、大丈夫です。

公園の木の根元の小さな…あれ、なんだろ、楓っぽかったけど、それを土ごと持って帰るとこ好きだったな。

春なので、うちの植物たちも元気もりもりで、ウンベラータなんかは、もう10年はうちにいる親も、株分けした子たちもすくすくと育ってます。それに、一度植え替えに失敗したエバーフレッシュも復活して、とんとこ枝を広げてます。

だから、平山さんの植物を愛でる気持ち、すごく分かるな。日当たりも良いし、夜も電気(紫色?)付けてるくらいだし。

そんな平山さんの日常。
植物に水をやり、本を読む。
一生懸命に働いて、銭湯で身体をほぐす。
そして馴染みの店で一杯呑む。

たわいない日常。
慎ましい生活。

そんな平山さんの日常に割って入る…というか、現れる女性たち。一様に美しい。

金髪ボブのお洒落な子。美しく成長した姪っ子。公園で顔を合わせる会社員の子。そして石川さゆり。彼女たちはあまりに綺麗で現実味がないけれどね。もうこれはアートの域だね。

すべてに妥協を許さない監督のこだわりと、異国を美しく撮る…という意味で、監督自身が本当に大事にしておきたい作品を作り上げたかったのかなと感じた。

トイレにしても、それはもうどこに行ってもきれいだし、清潔で、もはや日本の文化のひとつなのかも知れない。

平山さんが置いてきた過去がどんなものか分からないけれど、彼は、自分の人生を愛し、誠実に偽りなく全うしているのだ。

わたしも姪っ子にとって、いつでも頼れる叔母さんでありたいなぁ。
ミサホ

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