このレビューはネタバレを含みます
日常の些細なことに楽しみを見出し、日々を生きている姿が羨ましくも映った。とても豊かな生活に見えた。日々、スマホやら何やらであっという間に時間を溶かしていることを思い知らされ、もっと丁寧に、自分が好きなことをして生きていきたいものだと。
そう思ったのだけど、相方の感想は全く違っていて、とても興味深い視点だったので書き記していく。
↓
平山は淡々と日々を過ごしているけれど、実は感情を押し込めてその殺した感情を笑顔で覆い尽くして暮らしている。そこには、家族のいない寂しさや、先の見えない未来、変わらない日常へのもどかしさがある。本当は他にやりたいこともあったが、すでに諦めて、日々をきっちり過ごしている。
金のない後輩にお金を渡して喜ぶのも、自分にはいない息子代わりにお金を渡す感覚。喜びもつかの間、彼は自分の息子ではないことに気づき、飲みにもいけないことを後悔する。
最後の表情は、毎日のように溢れ出る変わらない日々への悔しさ悲しさから、実は日々葛藤している様子を描いたのではないか。あの時間を通して、またトイレ清掃の仕事をこなしていく。
この世界には実はたくさんの世界があって、自分の知らない世界もたくさんある。というような台詞が刺さった。確かにトイレ清掃員の住む世界を私は知らない。でもこの映画を見て、どんな世界にも楽しみはあるし生き方次第で良くも悪くもなるということが伺えた。