千年女優

メイ・ディセンバー ゆれる真実の千年女優のレビュー・感想・評価

3.5
36歳の既婚女性が13歳の少年と交際して世間を騒がせたメイ・ディセンバー事件を演じる事になった女優で、役作りのために現在では夫妻として家族を育む当事者のグレイシーとジョーを訪ねたエリザベス。獄中で出産して釈放後に結婚という複雑な関係の二人を目の当たりにして徐々にその胸中へ迫っていく彼女の姿を描いたドラマ映画です。

同性愛者を公言しているアメリカ人監督で各国の映画賞にノミネートされた『キャロル』ら複雑な恋愛関係を描いてきたトッド・ヘインズが、話題性の高さからスキャンダラスに取り上げられて年の差恋愛を意味する「メイ・ディセンバー」が冠された事件をモチーフにした作品で、ひねりのある作風が高く評価されて各映画賞を賑わせました。

アメリカで広く知られる事件とあってそのものの描写は野暮と避け、波乱の紆余曲折があった夫妻の「その後」を皮肉めいた視線から綴ります。海外では馴染みのない話題とあってとっつきにくさはありますが、『ブラック・スワン』を彷彿とさせるナタリー・ポートマンの優等生イメージを巧みに使って恋愛の不可思議を掘り下げる一作です。
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