ブラウンソースハンバーグ師匠

ポトフ 美食家と料理人のブラウンソースハンバーグ師匠のレビュー・感想・評価

ポトフ 美食家と料理人(2023年製作の映画)
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「青いパパイヤの香り」は、ほとんどストーリーが思い出せないんだけど、料理のシーンでめっちゃ腹減ったことだけ覚えていた。だから、「ポトフ」なんて邦題の映画を作られたら、観に行かないわけがない。

頭からずっと料理作ってる。「深夜食堂」や「まかないさん」で見られるような定点だけでなく、厨房が広い為、動きのあるショットで見せることができる。息のあった共同作業のスピード感も心地よい(私がここに参加していたら、皿の2、3枚割れる音が追加されたに違いない)。言葉がなくても、そこには円滑なコミュニケーションが行われているのが分かる。

洋梨?のラインがそのまま人間のボディラインに置き換わるシーンは、直接的すぎて笑ってしまった。

後半は「ドライブマイカー」みたいに、パーソナルスペースに外来者をじっくりと受け入れていく構図になるのかと思ったけど、そうではなかった。終盤、新しい(料理における)パートナーの予感を与え、あっさりと決別が描かれる軽妙さがかえって好きだ。

最後にこの映画を通して、人間は美味しそうなものを見せ続けられるとしんどくなる、ということを知った。下手な鬱映画よりしんどい。