トラン・アン・ユン監督作初鑑賞。
『青いパパイヤの香り』を観ずして浅学ではあるが、この監督のフィルミングをたっぷりと感じることができる一本でした。
何よりの魅力は“光”への理解。
草原の光、夜の邸宅の薄明かり、小窓から差し込む夕陽。
照明を使わずして撮ったと思われる映像が大半でしたが、どのカットも美麗でした。
内容自体はいかにもフランス映画という感じがしつつも、美し過ぎる映像がメイン2人の関係性をグッと抑えていて真に迫るものがありました。
エピローグの主人公が引用した哲学が印象的だったが、言葉をそのまま忘れてしまった、その部分だけもう一回観たい。
ところでフランス料理は和食と対極にあり、食材本来の姿を残さず、徹底的に加工するものだという。工程から仕上がりまでそんなフランス料理の魅力が存分にスクリーンに溢れる映画となった。
ベストディッシュは序盤のパイ包み!