コマミー

落下の解剖学のコマミーのレビュー・感想・評価

落下の解剖学(2023年製作の映画)
3.8
【そこに真実は…】



※ギャガ様とエスクァイア日本版様の試写会にて鑑賞




これは"安易に答えを出そうとしてはならない"作品だなと感じた。
それはとても危険な事であり、本作の"法廷シーン"を通して主人公の"サンドラ"が「果たして夫を殺したのか?」「本当に夫は自殺なのか?」を外野である私達がジャッジするべきではないと思うし、自分がもし同じ立場であるならばそんなの気持ちが良いものではない。
それに本作で起きた事は決してフィクションの中の話ではなく、"現実でも充分起こりえる"。だからこそ私は劇中の状況を見て目が離せなくなり、そして怖くもなった。

そして私は、"同業者が夫婦になることについて"、本作を通してそのリスクについて考えさせられた。これもこの夫の事件の真相を解剖するための材料となるのだが、改めてその難しさに痛感させられた。

"サンドラ・フラー"の演技は間違いなく良かったのだが、息子役を演じた"ミロ・マシャド・グラネール"の演技もとてつもなく良かった。実際に彼はかなりの秀才らしく、そんな彼はこの繊細な演技を見事こなしてくれた。
あと、"パルムドッグ"を受賞した"ボーダーコリーのスヌープ"も、人間のミロ君同様に凄い繊細な演技をしていて素晴らしかった。

今年の"オスカー"はどうなるか分からないが、なんと"カンヌ"同様にサンドラ・フラー主演の2作がノミネートされてるのは凄い。本作は、国際長編映画賞を逃した代わりに"5部門ノミネート"という異例の事態となっている。それくらい、本作が人々の心や頭脳に事触れ、評価された結果だと思うのだ。

本当に凄いサスペンスを見させていただいた。
すぐに白黒つけたがるSNSに蔓延るせっかちな偽善者達に、本作を見ていただきたい
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