あぺ

落下の解剖学のあぺのレビュー・感想・評価

落下の解剖学(2023年製作の映画)
4.5
他人事とは思えない夫婦の会話劇。ただ顔のよりを映すだけじゃなくて、サンドラがワインを注ぐ所作を真横から撮っているのがポイント。結果的にはアルコールによって二人の喧嘩に油を注いだようにも見えるけど、サンドラにとっては、どんな時でもお酒を酌み交わすことが大切だったんだろう。法廷モノということもあって台詞は多く基本は人物を映すだけなので、一見小説でも成立するのでは?と思われるかもしれないけど、録音テープの再生、カサヴェデスのような尖ったアングルのショットを見せてくれることで、映画ならではの楽しみがある。

カウリスマキの「枯れ葉」と似たような犬と女性を映したショットがあるけど、本作の方が圧勝。
カウリスマキ好きの人も沢山いると思うけど、これだけは言わせて欲しい。
(僕もカウリスマキ作品は敬愛してます)

カンヌのコンペ作品といえば「枯れ葉」「ポトフ」「怪物」と見てきたけど、本作が群を抜いてた。オストルンドの目に狂いはなかった。カンヌは恣意性があるって言われてるけど、ここ2〜3年のパルムドールはちゃんと一番優れた作品が選ばれていると思う。
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