ちゃんさわ

落下の解剖学のちゃんさわのレビュー・感想・評価

落下の解剖学(2023年製作の映画)
3.9
真実なんてものは存在するのだろうか?

フランスの雪山で暮らす家族。ある日夫が転落死し、視覚障害のある息子がその現場を発見してしまう。事故なのか自殺なのか、はたまた他殺なのか…ベストセラー小説家の妻は起訴され、目撃者も証拠もない中、法廷で真実に迫っていく。

我々鑑賞者も裁判の傍聴人たちと同様、その時実際に何が起こったのかわからない状態で映画は展開していく。様々な証人が入れ替わり立ち替わり証言を行うが、夫婦の人となりのアウトラインを描く補助線にはなるものの、決定的な証拠とはなり得ない。

確かなものが何もない状況で、人は何をどう判断するのか。その判断は事実として受け入れてよいのか。

やがて明らかになる夫婦間のパワーバランスに端を発するきついやりとりは完全に倦怠夫婦ものであり、通常描かれるのとは男女を逆転させた構造になっている。それにしてもあの音声を11歳の息子が聞くのはあまりにも惨すぎた。

真実というものの在処の不確実性を炙りだし、観客に判断をさせるアート作品なのであった。

”Hot Lawyer”ことヴァンサン役のスワン・アルローが織りなす、サンドラとの絶妙に危うい関係性は。

それ以上に犬のMessiくんが名演技を見せつけてくるのだが、一体どうやって撮影したのだろう?あまりにも賢すぎて作り物なのではと疑ってしまうレベル。

Savagesのボーカル、ジェニー・ベスもバンドでの姿とは違って息子のダニエルを優しく見守る役を演じていた。


https://miyearnzzlabo.com/archives/109865
https://youtu.be/jEGjcYuCi98?si=DPgToImv1sE3XXSt
https://youtu.be/QA2_gYSGQpQ?si=xvbc6V6MVtkPlX3N
https://stand.fm/episodes/65e1c37397a7b82033d634ee
https://niewmedia.com/specials/033830/4/
https://note.com/ttmjunk/n/n4265018fe155
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