ちゃんさわ

ヤクザと家族 The Familyのちゃんさわのネタバレレビュー・内容・結末

ヤクザと家族 The Family(2021年製作の映画)
4.1

このレビューはネタバレを含みます

ヤクザとして生きるということ。

親子の契を交わすタイトルバックに痺れる。

傷ついた獣のように生き、柴咲組に拾ってもらった1999年、弟分と組のために人生を捧げた2005年、刑期を全うし戻ってきたが、暴対法によりヤクザの世界が様変わりしてしまっていた2019年。3つの年代を章立てて構成されており、主人公の感情に沿ったグレーディングが美しい。

2010年代にヤクザ映画を製作することのリスクはインタビューの中で舘ひろしが言及していたが、「ヤクザと家族」はきったはったの世界ではなく、コミュニティとしてのヤクザを描いている点、そして暴対法強化の影響がヤクザにどう影響しているのかを新たに描いている点が新しい。

黒川博行の人気小説である疫病神シリーズの中でも建設現場における”サバキ”をヤクザが行う描写が繰り返し登場するが、シリーズが進んで2010年代後半に入ると、やはり暴対法強化の影響でシノギがどんどん無くなっていく厳しい現実が記されている。

いつ野垂れ死んでもおかしくなかった山本が柴咲組という家族を得て、さらに家庭も持つ事ができそうだったのに、ヤクザであった過去により再び全てを失ってしまう。自業自得だ、同じような境遇でもヤクザにはならず立派に生きている人はいると切り捨てるのは簡単だが、それはもう社会というコミュニティの機能不全でしかないのではなかろうか。

親父を看取ることができたとは言え、山本の最期は悲痛そのものであったが、それでも山本が注いだ愛情を翼と彩が確かに受け取っていたことがわかるラストは救いがあった。

https://www.gqjapan.jp/culture/article/20210211-in-conversation-go-ayano-and-hiroshi-tachi
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