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落下の解剖学の87のネタバレレビュー・内容・結末

落下の解剖学(2023年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

「Anatomy of a fall(落下の解剖学)」という題に過度のミステリーやどんでん返しを期待し過ぎて、テープのくだりは『もしやテープの位置をすり替えたとか?』と深読みし過ぎた私としては、喧嘩の音声が物語の痛烈なアンサー過ぎて、以降の展開と言葉への集中力がだいぶ欠かれてしまった。

どっちつかずの存在感があまりにも上手なサンドラ(主人公)の喧嘩のセリフにほぼ全て納得し、自分の言葉のように姿勢が合致してしまったと同時に、旦那の絶望と敗北感に染まった感情も同じ速度で受け取れてしまい苦しかった。
正直この音声を流す前後だけで映画に出来ると思ったくらいなので、それほど脚本(及び翻訳)が素晴らしく、まあ受賞も理解できるかなと思った。
もちろんパルムドックも然り!

しかし裁判以降のシーンまるまる要らないと思った。
この無駄こそ「めちゃくちゃカンヌ、パルムドールって感じ」と個人的には納得したものの、あまりにも惰性で、これはグロテスクでつまらなく平穏な“日常“に帰るという象徴?と思った。

が、噂通り「佐々木蔵之介と安藤政信を足して2で割ったイケオジ」こと弁護士役のスワン・アルローのほのかな甘さに一瞬触れられたので許します。
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