ヨツ

落下の解剖学のヨツのレビュー・感想・評価

落下の解剖学(2023年製作の映画)
3.8
人生のだいたいにおいて、私たちは自分が真実だと決めたものを真実として生きている。普段殊更に意識することはないけど、それは常に行なっていること。

以下ネタバレ。





サンドラは作中ではかなり世間的にはかなり疑わしいと思われているように描かれているけれど、何故そんなにサンドラばかりが避難を浴びるようになっているのか全然納得いかなかった。録音データでの会話の再現とか、議論を放棄しているのはサミュエルの方に見えるし。
個人的に私が信じる真実としては、サンドラは大衆が信じるような残酷で利己的な人物ではなく夫婦関係に問題を抱えて疲弊する1人の人間に過ぎなかったし、事実夫を手にはかけなかった。一方で、ダニエルは母が手を下したと思っているが、母が無罪になってほしいそれを真実としたいと決意し彼女が無罪になるように振る舞った。この映画において何が真実かは重要じゃないから推測は野暮かなと思うけど、そう信じるのが「人がどう思うか」が重要という人間社会における真実のあり方を示す筋としていちばん綺麗だよなと思う。
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